1980年6月、私は「GiveとGet」という当時NHK上級英会話講師をされていた故松本道弘先生の本を一冊携えてアメリカに渡った。
目的は二つ。一つは世界で一番強いと思っていた当時極真会館シカゴ支部長の三浦美幸師範(現三浦道場 首席師範)の道場に入門し指導を受けること。二つ目はアメリカの大学でジャーナリズムを専攻しアメリカでジャーナリストになること、であった。
高校でも自慢できるほど英語の成績は最低最悪であった。が、英語が嫌いだったわけではない。高校は進学校だったが、「お前たちここを覚えておけば試験や入試には大丈夫だ」という教師の姿勢にまったく同意することができなかったつむじ曲りだった。
シカゴに到着し一週間も経たないうちに、三浦師範に連絡しすぐに入門を許していただいた。日本では15歳から空手をやっていたこともあり早い時期に茶帯をいただいたあたりから師範の持つ4つの道場で指導を始めた。
英語はもちろんまるでできない。
しかし、道場には”道場英語”というものがあり、この英語と日本語のチャンポン英語でなんとかなってしまうのである。
例えば、「Kiai Irete 気合入れて!」は日本語で、生徒も「Osu(押忍)」と答える。生徒がわからないような時でも、日本人インストラクターの私は「Do you understand ?」と怒鳴ると、「オース」とこっちのいうことが分かっても分からなくても生徒は答えることになる。
そのうち、半年もすると、だいぶのオレの英語も上達してきたなーと、外に行って英語を話すのだが、マクドナルドに行っても、郵便局にいってもまるで通用しない。第一に何を言っているのかまったく分からない。
しかし、私はその後アメリカで、シカゴの大学を卒業し、ウォール街で6年間米国株のトレーダーをし、いくつかの会社を起こし大勢のアメリカ人と働いてきた。道場では3,000名を超えるアメリカ人を指導してきた。
日本の高校では英語など主要科目ではまったく最低最悪の落ちこぼれだったが、アメリカ社会では、日本の受験英語などなんの役にも経たないが、そんなものはなくても十分にアメリカでやっていくことができた。
自分がその証明だと思っている。
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