稲村公望さんは、元日本郵便副会長で、最後まで”郵政民営化”という欧米グローバリストの日本の富の収奪に反対を貫き職を追われた反グローバリズムの闘士。その稲村公望さんの投稿をシェアいたします。
今まであまり祖父山中利一のことは講演会で話したことはなかったのですが、今回は日本を代表する社会活動家である佐藤和夫さんに講演会を主催していただいたことで、祖父も政治活動家で一生を終えた人物であったことでその話をさせていただいた。
稲村さんからは、祖父が早稲田の時、書生を務めた頭山満は日本の大アジア主義を主導した人物であることなど詳しくご紹介いただいた。
今こそ日本は、欧米中心主義からの脱却を図るべきではないのか。何か国連や国際機関を葵の御紋のように有り難がる日本人が多いが、その実態は各国の文化や歴史を破壊していくグローバリズムの巣窟であることが多い。
チャーリー・カークは日本の文化や伝統を尊重する人だった。その彼が「日本はまだ間に合う」と言ってくれた。だがその意味するところは「日本に残された時間は少ない」という裏の意味がある。
ぜひ稲村さんの論考をご熟読いただきたい。
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オリジナル投稿 ·
文明の分水嶺に立つ日本 —— チャーリー・カーク日本人への最後のメッセージ 世界と日本人に、彼が遺してくれたもの
稲村公望
二〇二六年二月、参議院議員・山中泉氏は、米国の若き保守思想家 チャーリー・カーク に関する一冊を世に問うた。本書は単なる評伝でも翻訳書でもない。二〇二五年九月七日に東京で行われた講演の記録を軸に、カーク氏の思想を日本の進路に照射した、文明論的提言の書である。
まず著者自身について触れておきたい。山中氏は青森県出身。祖父は明治・大正期の大アジア主義者であった 頭山満 の書生を務めた人物である。頭山は単なる国家主義者というより、アジア解放と連帯を志向した思想家であり、その系譜は近代日本の対外思想史の一角をなす。
山中氏自身は空手の武道家として心身を鍛え、四十年以上に及ぶ在米生活を送り、とりわけシカゴを拠点に米国社会を内側から観察してきた。ニューヨークでは 野村證券 のトレーダーとして金融市場の最前線に立った経験も持つ。理念と実務、武道と金融、そして日米両社会を体験的に知る立場——その複合的背景こそが、本書に独特の厚みを与えている。
出版記念講演会には約百名が参集し、移民問題を中心に活発な議論が交わされた。この事実自体が、本書の時代的意義を示している。移民政策は、抽象的理念ではなく、日本社会の構造と未来を左右する喫緊の課題だからである。
## 一 「日本はまだ間に合う」という警句
カーク氏は、若者保守運動を率い、大学キャンパスやメディア空間で既成秩序に挑戦してきた人物であった。来日講演で彼が繰り返したのは、「日本はまだ間に合う」という言葉である。
これは感情的スローガンではない。米国や欧州が直面する社会的混乱——急激な移民増加による分断、治安不安、文化的摩擦、政治的対立の激化——を反面教師とせよという歴史的警告である。
欧州の一部諸国では、大量移民政策の帰結として社会統合の困難が顕在化している。米国でも不法移民問題は国家的分断の火種となり続けてきた。こうした現実を直視することは排外主義ではない。国家の持続可能性を真剣に考える態度である。
## 二 移民政策は「文明の設計図」である
日本は少子高齢化と労働力不足という現実に直面している。その解決策として移民受け入れ拡大が語られることは多い。しかし、本書が提起するのは、移民政策を単なる経済補完策として扱うことへの警鐘である。
国家とは市場ではなく、歴史・文化・倫理・共同体意識によって成立する存在である。急激な人口構成の変化は、言語、教育、社会保障、治安、宗教観、家族観にまで連鎖的影響を及ぼす。
欧米の経験は、その調整が容易ではないことを示している。統合政策が機能しなければ、社会は並立するコミュニティへと分断される。山中氏は、米国社会を四十年以上体験した当事者として、その現実を抽象論ではなく実感を伴って語る。
日本が同じ轍を踏んではならない——それが本書の中心命題である。
## 三 若き社会運動家の遺言と日本の責任
カーク氏は三十一歳で凶弾に倒れた。その死は衝撃的であったが、本書は彼を神格化するのではなく、思想的メッセージを未来に手渡す試みとして構成されている。
注目すべきは、山中氏が単なる紹介者にとどまらない点である。米国社会を内側から知る実体験と、日本の歴史的精神風土への理解とを重ね合わせ、カーク氏の警告を日本的文脈へと翻訳する。
移民問題は、「寛容か排外か」という単純な二項対立ではない。国家の自律性と文化的連続性をいかに守るかという、より高次の文明論的問いである。-
## 四 提起
本書の刊行は、日本の論壇に対する静かな挑戦でもある。移民拡大路線への慎重論は、これまで十分に深められてきたとは言い難い。だが、現実はすでに各地で変化を見せている。講演会会場でも、現場の教師から、移民の子弟の増加により学校運営が困難になっているとの質疑応答があった。
政策は理念の美しさではなく、長期的持続可能性によって評価されるべきである。欧米の経験を学びつつ、日本独自の秩序と文化を守る設計図を描くことが求められている。
山中氏の出版は、その議論を正面から提起した勇気ある行為である。百名規模の講演会の盛況は、社会の底流にある問題意識の広がりを示している。-
## 五 結語——「間に合う」ための覚悟
『チャーリー・カーク日本人への最後のメッセージ』は、単なる保守思想紹介書ではない。日本が文明史的分水嶺に立っているという自覚を促す警鐘である。
米国や欧州の二の舞を演じるのか。それとも歴史の教訓を踏まえ、自国の秩序と文化を守りながら持続可能な社会を築くのか。
「日本はまだ間に合う」という言葉は、希望であると同時に責任の宣告でもある。
日米両社会を体験的に知る山中泉氏だからこそ書き得た本書は、移民政策をめぐる議論を感情論ではなく文明論の次元へと引き上げる一冊である。論壇は本書を真剣に受け止め、日本という世界第八の文明国家と国民の未来への選択をめぐる熟考・熟議を深化させるべきであろう。