以前から注目しているミヤシャイマー シカゴ大教授の最新の露ウク戦争、イスラエル・ハマス戦争への米国の関与に厳しい批判を展開している見方を紹介します。
ファウンテン倶楽部のシニア・コントリビューター中村哲也さんの投稿より。ファウンテン倶楽部ではこのようなバランスの取れた様々な見方を紹介しています。
(以下ミヤシャイマー教授の主張)
Judging FreedomにJohn Mearsheimer 教授が登場。”Prof. John Mearsheimer : Can Europe Survive?”の日本語サマリーをご参考までにChatGPTで作成しました。
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この広範かつ挑発的なインタビューで、ジョン・ミアシャイマー教授は、特にドナルド・トランプ前大統領の下での現在のアメリカの外交および国内政策の方向性について、厳しい批判を展開し、中東、ヨーロッパ、そして国際秩序への影響に焦点を当てています。ミアシャイマーはまず、イエメンでの最近のアメリカによる民間人爆撃を非難し、その正当化として挙げられた「フーシ派によるアメリカ船舶への脅威」という主張は虚偽であり、実際にはガザでの停戦崩壊後に軍事行動を再開したイスラエルを支援するための行動だったと断じます。彼は、フーシ派とヒズボラこそが現在、いわゆるイスラエル主導のジェノサイドに最も真剣に抵抗している稀有な存在であると称賛し、これに対しアメリカとヨーロッパの同盟国は「共犯者」だと非難します。
彼はまた、トランプが政権入りする前にガザ停戦の功績を自らに帰したにもかかわらず、現在ではその停戦を覆し、イスラエルの軍事行動を全面的に支持しているという政策的矛盾とイスラエル政府への深い忠誠心を指摘します。ミアシャイマーは、こうした姿勢の背景にはミリアム・アデルソンのような人物に代表される「イスラエル・ロビー」の圧倒的な影響力があると主張し、アメリカの中東政策が国益ではなく特定のロビー団体の意向によって歪められていると述べます。
国内問題について、ミアシャイマーはトランプ政権下での市民的自由の著しい後退に強い懸念を示し、政権への批判を理由に米国への再入国を拒否されたケース、ガザに関する抗議活動の強権的な弾圧、司法手続きを無視した拘束や移送の事例などを挙げています。これらはすべて、言論の自由や適正手続き(デュー・プロセス)に対する露骨な攻撃であり、バイデン政権にも問題はあったが、トランプ政権の方が遥かに深刻であるとしています。特にベトナム戦争時代と比べ、現代アメリカにおける抵抗運動が極めて弱いことに言及し、その原因の一部は徴兵制の廃止にあると分析します。また、トランプ政権およびイスラエル・ロビーが意図的にガザ虐殺への国内抵抗を封じ込めたと語ります。
地政学的な観点から、ミアシャイマーはトランプとプーチンの関係、そしてウクライナ戦争についても論じます。報道されているような「停戦合意」は、ロシア側の核心的な要求が満たされない限り無意味であるとし、実際に有意義な政治合意がなければ停戦は成立しないと明言します。ホワイトハウスとクレムリンから出された会談の内容に関する説明が食い違っていることについても、会談では実際にはウクライナ戦争終結のための重大な議題が話し合われた可能性が高いと指摘します。トランプはウクライナ和平を模索しながらも、同時にガザでの人道犯罪を容認しているという二重性は、ロジックではなく、国内の政治的制約、特にロビー団体の影響によって説明されるべきだと述べます。
ヨーロッパに関しては、ミアシャイマーは「ロシアがヨーロッパを侵略する可能性」という欧米メディアや政治家の主張を一蹴し、現実的な脅威ではないと断言します。キーア・スターマー、エマニュエル・マクロン、オラフ・ショルツといったリーダーたちを「非現実的」と評し、彼らが語る脅威論は戦略的実体のない政治的演出に過ぎないと主張します。その上で、トランプが再び政権を握れば、アメリカはNATOやヨーロッパへの関与をさらに縮小し、最終的にはNATOが有名無実化すると予測します。形式上はNATOから脱退しないにしても、アメリカは主導権を放棄し、欧州側に運営を委ねるようになるだろうと述べ、将来的にはNATOの最高司令官がヨーロッパ人になる可能性もあると指摘します。
アメリカの関与がなくなった後のヨーロッパについて、ミアシャイマーは悲観的な見通しを示します。共通の脅威(旧ソ連など)やアメリカの調停力によって保たれてきた欧州の結束は、アメリカが離脱すれば瓦解し、各国が自己利益を追求することで衝突が増えると警告します。アメリカの存在が「集団行動のジレンマ」を解消してきたが、その存在が消えればヨーロッパはもはや統一体ではなくなると予測します。そして、ウクライナ戦争が「凍結された紛争」もしくは本当の和平で終結した後、多くの欧州諸国が経済的な必要性からロシアとの貿易や外交関係を再開するだろうとも述べています。
最後に、ミアシャイマーはアメリカの外交政策がリアリズム(現実主義)の原則と矛盾しており、本質的に偽善的だと批判します。アメリカは他国の主権を頻繁に侵害しておきながら、2016年のロシアの選挙介入疑惑のように、自国への干渉には過剰に反応するという二重基準が存在すると指摘します。このような態度は、国際秩序や主権尊重の理念に反し、グローバルな信頼を損なうものだと強調します。
総じてミアシャイマーは、アメリカが国内では自由を抑圧し、中東ではロビー団体の影響で破壊的な政策を進め、ヨーロッパでは国際的責任から撤退しつつあるという暗い未来図を描いています。その結果、分裂したヨーロッパ、勢いを増すロシア、そして国際社会におけるアカウンタビリティの喪失という危険な新時代が到来する可能性が高いと警鐘を鳴らしています。