(10月23日米中間選挙アップデート)
(シカゴ発 10月23日オフィス・ファウンテン発信)
(Newsweek誌 10月20日号参照) ファウンテン・メディア・チーム ローレンス綾子 山中泉
11月の中間選挙が近づき、最近の統計会社FiveThirtyEightは「民主党が上院過半数を維持できる確率は3分の2はある」と予測している。
しかし、次の5つの州、ジョージア、ネバダ、オハイオ、ペンシルバニア、ウィスコンシンでの上院選挙では、接戦が続けられており、この11月の選挙結果次第で、バイデン政権、民主党と共和党、そして国全体の運命を変えることになるだろう。
「過去数十年間、中間選挙では、大統領側でない野党がほぼ常に議席を獲得してきた」と英ノッティンガム大学の歴史学者クリストファー・フェルプスは語る。
「現在、下院で民主党が共和党に負けるのは想定内。ということは「民主党が上院を死守できるか」が、民主党が法案を通すことができるかの鍵となる。上下院両院で敗北したら、バイデン政権は事実上何もできなくなるだろう。」
これらの上院議員選挙はなぜ重要なのか?
「上院の主導権を死守することはバイデン政権をはじめ民主党の長期的な動きに対して決定的に重要だ」とパーカー。
「バイデン大統領は、主要な役職の選任、特に、地方裁、上級裁、そして最高裁の連邦判事の任命に関して、上院議会の承認が必要だ。トランプ政権の最大の偉業は、多数の判事を任命できたこと。それはオバマ政権2期分の数に匹敵する。この流れを止めるためにはバイデンが判事を任命できなければいけないが、上院で民主党が過半数を取れなければ、それは不可能になる。」
中間選挙で共和党が下院を勝ち取る可能性もある。そうなれば法案と予算に関しても共和党が主導権を握る事になる」とパーカー。
「バイデンは拒否権を行使するしかなくなるだろう。」
荒っぽい手法だが、議会でそれしか抵抗する方法がなくなってしまう。
また裁判官の選任、特に最高裁に空席が出た時の任命を共和党は阻止することもでき、2024年に大統領選を奪還する希望も見えてくる。これはバイデン政権の政策遂行の大きな妨げとなるだろう。
両党にとって決して負けることのできない戦いだが、負けるとより大きなダメージを被るのは民主党の方だ。上院を保持しても彼らにとって現状維持できるだけだが、負けてしまったら破壊的なダメージとなることは必至だ。
5つの激戦州の世論調査の分析は以下の通り:
【ジョージア州:ハーシェルウォーカー 対 ラファエル・ウォーノック】
2021年にスペシャル選挙で当選した民主党上院議員ラファエル・ウォーノック(53歳・牧師)の共和党の対抗馬は、60歳のビジネスマンで元フットボール選手のハーシェル・ウォーカー。FiveThirtyEightの最近の調査によると、ウォーノックが現在は有利だがその差はわずかだ。
10/15〜10/17に行われたランドマークコミュニケーションズの調査では、2候補は同点だった。ウォーノック対ウォーカーを、以下の統計会社は、トラファルガーは46%対45%、キニーパック大52%対45%、エマーソン大学48%対46%と、いずれもウォーノックが優勢という調査結果が出ている。
「ジョージアは、一人は中絶に反対のフットボールの英雄、もう一人は中絶推進派の現職民主党議員の黒人候補2人の対決で、非常に複雑な戦いだ。」とフェルプス。
「ハーシェル・ウォーカーはトランプが推薦する候補者だが、彼が元彼女の中絶費用を支払ったという疑惑はまだ払拭されていない。この選挙が上院議会の運命を決めるかもしれない。」とキール大学の准教授のジョナサン・パーカーは語る。
「この戦いは、民主党が僅差でリードという激戦区で、著名な黒人候補同士が対決するということで大きな反響を呼んだ。」
ちなみにウォーカーは中絶費用を支払ったことを否定している。
【ネバダ州:アダム・パール・ラクソルト 対 キャサリン・コルテス・マスト】
FiveThirtyEightの直近の世論調査位によると共和党が上院議席を獲得する可能性は51%、しかし、世論調査ウェブサイトはネバダの選挙戦は「トスアップ(五分五分)」とされている。
「大統領の不人気と経済の低迷が挑戦者に有利に働く状況ではあるが、現職の民主党上院議員キャサリン・コルテス・マストとトランプ推薦の共和党員アダム・ラクサルトは現在互角の戦いと言える。」とパーカー。
ネバダ州民にとって最大の関心事はインフレ。
【オハイオ州:J.D. ヴァンス 対 ティム・ライアン】
「トランプ推薦のJ.D.ヴァンスと民主党員の戦いはますます接戦となっているが、オハイオ州は共和党を支持する傾向がある。」民主党現職のティム・ライアンに対してヴァンスが勝つだろうとフェルプスは予測。
この二人の候補者はすでに白熱した討論会を二度実施しており、自分たちは自党の使い走りではないと主張している。
「トランプの共和党批判者から熱烈な支持者に変わったJ.D. ヴァンスは、当初は世論調査で遅れをとっていたが、この保守的な州で少しずつ勢いを伸ばしつづけ、今は民主党の対抗馬であるティム・ライアンに勝つだろうと考えられる」とパーカー。
【ペンシルバニア州:メメット・オズ 対 ジョン・フェダマン】
ペンシルバニアでは、パーカ姿の民主党候補ジョン・フェダマンが共和党に寝返った多くのブルーカラーを奪還しようと奔走している。対抗するのは共和党メメット・オズ博士。フェダマンが夏に脳卒中で倒れていなければ、フェダマンにとってオズは簡単に打ち負かせる相手だっただろう」とフェルプス。
フェダマンとトランプ推薦の共和党候補者オズは、激しい誹謗中傷合戦を繰り広げている。フェダマンはオズをペンシルバニアの部外者と呼び、オズはフェダマンの脳卒中を攻撃材料としている。
「人気ある民主党候補ジョン・フェダマンと、トランプ推薦で共和党、有名なテレビ番組医師のメメット・オズとの戦い。フェダマンの健康問題が懸念されているため、その差は縮まってきている。」とパーカー。
【ウィスコンシン州: ロン・ジョンソン 対 マンデラ・バーンズ】
わずか2−3週間前の9月30日、両候補の差はもっと小さく、ジョンソンが48.6%で、バーンズが46.6%だったが、現在はさらにジョンソンがリードを広げている。
