「Mom や Dad、Boyや Girl も使えなくなり始めたアメリカ」

「Mom や Dad、Boyや Girl も使えなくなり始めたアメリカ」

(シカゴ発オフィス・ファウンテン「アメリカの現実」3月17日)

アメリカに現在蔓延している恐るべきポリコレ(political correctness)は拙著『「アメリカ」の終わり』でもかなり詳細に取り上げた。

このポリコレは、1980年代アメリカで「性別、人種、民族による差別や偏見を防ぐため、政治的・社会的に公正で中立な言葉や表現を使用する」という極めて真っ当な理由でメディアを中心に開始した経緯がある。しかし、その実態は恐るべき「言葉狩り」に発展していて、現在一般のアメリカ人がこのポリコレに触れることは一切口に出せない「言論の自由の封殺」が起きているという共産主義国家のような様相を呈してきているのが実情だ。

アメリカにここ数十年住んだことのある人ならば、特に学校などでは「メリークリスマス」が言えないような状態になってきていることをご存知だろう。我々ビジネスマンもクリスマスシーズンにカードが送られてくることが多いが、その中にはほとんど 「Merry Christmas」の文字はなく、「Happy Holidays 」やそれ以外のキリスト教を祝う単語を避けるようになってきている。

つまり、学校も社会もキリスト教ばかりの人ではないので、メリークリスマスというキリスト教信者が祝う祭りの言葉を使うべきではないというポリコレに基づいている。拙著の中でも述べているが、アメリカではMr. に対してMiss とMrs. のように女性だけ既婚の有無を示すのは不平等だということで、Ms. (既婚の有無がない)敬称が一般化しているのは知られているが、最近は男性か女性かを示すことも好ましくない、ジェンダー(性差)を一括りに出来ないという意見が増えて、現在はMx. (性別を表さない敬称)を出すところも増え始めた。

しかし、つい最近ニューヨークの学費$46,000(年間500万円)の高額私立の小学校で、「父や母」、「男の子、女の子」を表す単語、「Mom, Dad」 「Boy, Girl」までも男女の性差を表すので良くないというとするところまでで始めた。

オバマ政権ではトランスジェンダーの権利が大幅に認められ、性転換をした女子生徒(以前は男子生徒)が「自分は女性であるので、学校の女子トイレや女子シャワールームに入る権利がある」とイリノイ州パラタインの高校を訴えた。それに対して2021年、学校側に対して女子生徒に15万ドル(1700万円)の支払いを命じる判決が出た。

日本のメディアではほとんど報道されていないが、現在のバイデン政権にはこれらの過激な主張をする民主党左派が政権入りしている。今後、バイデン政権ではこれら、実質上は「言葉狩り」であるポリコレに少しでも触れた人々に対する「粛清」や「人格抹殺」など社会的にその人間を葬り去る「言論の自由」の弾圧がますます強まることになるだろう。

既にこの悪しき風潮は昨今の日本でも頻繁に聞く事態に陥っているのではないか?正義を語る言葉には気をつけなくてはならない。社会的に正しいとされる主張に基づいてさえいるのならば、何をやっても言っても許される、相手を社会的に抹殺しても良い、これは極めて危険な考え方だ。そして、これら相手の価値観や言い分を無視し、ポリコレという大義名分を盾にとり、相手を抹殺するため、所属先に圧力をかけ解雇に追い込む。それが経営者である場合は、その企業の製品をボイコットするキャンセル・カルチャーが頻繁に起きている。これはバイデン民主党左派やブラック・ライブス・マター(BLM)が積極的にここ数年やってきたことだ。

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